悪魔は人に依存する


だからこそ、そんな彼女に惹かれたのか。


人間界に呼ばれたら悪いことだらけだと同族から聞いていた。こちらの意思は関係なしに故郷から別世界に移され、そこで生きるには召喚師の一部を貰わなければならない。


召喚師とは命綱。
言うことを聞かなければ生かしてはやらぬ、だなんて分かりやすい構図があってこそ、召喚物は膝を折るしかなかった。


強き物ならば無理矢理その召喚師を襲い、一部どころか全部を喰えるだろうが、そう都合良い力を身につける奴など稀であり、逆に、こうして召喚師の体を貰うことによって力を得ていく仕組みもあった。


他人の能力を奪う狡猾な悪魔ならばなおのこと、シキミに召喚されたこの男もまたその類いであり、力を蓄えるため、“最初の一回(呼び出し)”は人間に従順になろうと思っていたのに。


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