girls-光に背いた僕等は-
「テメーッ、女だからって
余裕かましてんなよ」
充先輩は、早くもキレた
鋭い目付きは相変わらずで
恐怖ってよりは苦しさを感じる
しかし彼女はそんな瞳を
気にした素振りも見せず
「で?」って
「余裕かまして何か悪い?
わたしはアンタ等みてーに
弱くないから」
「テンメーッ!!」
充先輩が顔を真っ赤にして
殴りかかった刹那――
踊るように
花びらが散るように
彼女は無駄のない動きでかわすと
そのまま腹をえぐるように殴る
「ぐっ……! な、なんなんだよテメー!!」
充先輩は地面に膝をついて
苦しそうに叫ぶ
彼女はフッと笑うと……
「……わたしは片瀬樹梨
弟迎えに来ただけ」
姉ちゃんはそう言うと
俺を車に誘(いざな)った
運転席には茶髪で
女みてぇにジャラッとした
水色のストーンをつけた男
「出して」
俺のとなりに座った
姉ちゃんがそう言うと
車は滑るように走り出す