vampire*love2
「本気だからなんだと言うの…わたしは負けない…」



短剣をかまえ、殺気を放ちながらこちらへ駆け出す女。



とりあえず、避けて止めよう…そう考えていたときだった。



「やめなさい…!」



俺と女の間に見慣れた茶色が飛び込んできた。



「相川桜姫っ…!」
「桜姫!」



とっさに飛び込んで来たけれど、流石にヴァンパイア。


短剣は女の手から離れ、部屋の隅に転がっていた。



「あなた、新島なんて名前じゃないでしょ?本当の名前はキキョウよね?」


桜姫がそう言った瞬間、女は床に崩れ落ちた…



「和樹のことは私も気にかけていたけれど、なにしろこの200年私は私としては生きていなかったの。明日の晩、私を和樹の館に連れていきなさい。」




いつもの桜姫からは想像できない強い口調に、凛とした背中。



「助けて…いただけるのですか…?」



「元はと言えば私のせいでもあるもの。当然よ。」






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