音楽の女神〜ピアノソナタをあなたに
まるで花が咲いたように本当に嬉しそうに微笑むエミリアからは、ジェイドへの憧れや恋心がわかりやすい程に表れている。
ジェイドの深い海の底のような紺碧色の瞳に見つめられるだけで、胸の鼓動は高鳴り、頬は赤く上気する。
一方でジェイドのほうはというと、紳士的に振舞っているように見えて、自分の婚約者になるかもしれないこの美しい令嬢に全く興味はない。
王位を継ぐ者として、結婚し世継ぎを儲けることは義務であり必然であるとは思っている。
しかしジェイドはその相手がこのエミリアでも、また他の誰かでも、未来のオスティア王国の王妃に相応しい者であるならばそれでよかった。
「どうやらそろそろ演奏が始まるようだ。
席へ向かおう」
「はい。今日は王国中の女性達を虜にしているというアダム・エドワーズのピアノを拝聴できるのですよね。とても楽しみです」
「彼は演奏だけでなく、その容姿でも聴き手を魅了しているのかもしれないな。
それが彼にとって良いことだけではないのかもしれないが」
ジェイドのひとり言のような最後の言葉は、はっきりとしていたけれど、エミリアはよく意味がわからなかったのか不思議そうな顔をしている。
それに気付いたジェイドはさりげなくエミリアの腰に手を添えて促すと、ハワードと侯爵が待つ席へと戻った。
ジェイドの深い海の底のような紺碧色の瞳に見つめられるだけで、胸の鼓動は高鳴り、頬は赤く上気する。
一方でジェイドのほうはというと、紳士的に振舞っているように見えて、自分の婚約者になるかもしれないこの美しい令嬢に全く興味はない。
王位を継ぐ者として、結婚し世継ぎを儲けることは義務であり必然であるとは思っている。
しかしジェイドはその相手がこのエミリアでも、また他の誰かでも、未来のオスティア王国の王妃に相応しい者であるならばそれでよかった。
「どうやらそろそろ演奏が始まるようだ。
席へ向かおう」
「はい。今日は王国中の女性達を虜にしているというアダム・エドワーズのピアノを拝聴できるのですよね。とても楽しみです」
「彼は演奏だけでなく、その容姿でも聴き手を魅了しているのかもしれないな。
それが彼にとって良いことだけではないのかもしれないが」
ジェイドのひとり言のような最後の言葉は、はっきりとしていたけれど、エミリアはよく意味がわからなかったのか不思議そうな顔をしている。
それに気付いたジェイドはさりげなくエミリアの腰に手を添えて促すと、ハワードと侯爵が待つ席へと戻った。