音楽の女神〜ピアノソナタをあなたに
「わたしが言うのもあれだけど…今回は特におかしいと思うんだよね」
「おかしいって?」
「コンクールの順位だよ!
だって…セアラの演奏を聴いて、あのとき誰もが優勝はセアラで決まりだって思ったはずだもん」
「それは…エマはわたしの友達だし…」
「違うよ、ひいき目で言ってるんじゃなくて!
あの場所にいた人にしかわからないだろうけど、会場の雰囲気とかでなんとなく感じるものでしょ?
うまく言えないけど…絶対に、おかしいって思った人はわたし以外にもいるはずだよ…」
「エ、エマ…」
「マチルダ先生はなんて言ってたの!?
だって、やっぱり納得いかないもん!」
「エマ!!」
思い出したことで再び熱くなってきたのか、エマは悔しそうにセアラの肩を掴むと激しく揺さぶりながら尋ねる。
それを慌ててセアラが止めると、エマはようやく自分達に注がれる視線に気がついた。
二人の周りを行き交う学生達が、何事かとちらちらと好奇の目を向けている。
「ご、ごめん…
一番悔しいのはセアラなのに、わたし…」
「ううん、こんなに親身になってくれる友達がいるんだもん。私は嬉しいよ」
「もう、セアラってば」
どこか吹っ切れたように笑うセアラが、エマはもどかしかった。
「おかしいって?」
「コンクールの順位だよ!
だって…セアラの演奏を聴いて、あのとき誰もが優勝はセアラで決まりだって思ったはずだもん」
「それは…エマはわたしの友達だし…」
「違うよ、ひいき目で言ってるんじゃなくて!
あの場所にいた人にしかわからないだろうけど、会場の雰囲気とかでなんとなく感じるものでしょ?
うまく言えないけど…絶対に、おかしいって思った人はわたし以外にもいるはずだよ…」
「エ、エマ…」
「マチルダ先生はなんて言ってたの!?
だって、やっぱり納得いかないもん!」
「エマ!!」
思い出したことで再び熱くなってきたのか、エマは悔しそうにセアラの肩を掴むと激しく揺さぶりながら尋ねる。
それを慌ててセアラが止めると、エマはようやく自分達に注がれる視線に気がついた。
二人の周りを行き交う学生達が、何事かとちらちらと好奇の目を向けている。
「ご、ごめん…
一番悔しいのはセアラなのに、わたし…」
「ううん、こんなに親身になってくれる友達がいるんだもん。私は嬉しいよ」
「もう、セアラってば」
どこか吹っ切れたように笑うセアラが、エマはもどかしかった。