音楽の女神〜ピアノソナタをあなたに
オスティアの国王、ハワードはがっしりとした体つきの長身で、明るいブラウンの髪と瞳、そして威厳を感じさせる髭を生やしている。

並んで立つ親子はあまり似てはいないものの、互いに高貴なオーラを放っているように見えた。


｢挨拶も済ませましたので、残っていた書類の整理をしようと部屋へ戻っていました｣


ジェイドが淡々とそう告げると、ハワードはあいかわらずの息子の様子にやや呆れたように少し顔をしかめる。


｢またお前は。
今宵のパーティーはお前の生誕の前祝いとして盛大に開かれたものだというのに…主役が早々に居なくなってどうする。
仕事熱心なのはいいことだが、もう少し楽しむことも覚えないといかんな｣

「はい…」


お酒も入り上機嫌なハワードが、いつでも仕事ばかりの息子に諭す。

表情はあまり納得しているようには見えないジェイドも、国王である父の言葉には素直に返事をした。

するとそんな二人の会話に割り込むように、一人の貴族がハワードに声を掛けた。
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