音楽の女神〜ピアノソナタをあなたに
今も英雄として語られるオスティアを建国した初代国王、その国王に生涯ただ一人深く愛されたという王妃が、「音楽の女神」と呼ばれていた美しき天才ピアニストだったからだ。

そして現在、オスティアは音楽と共に発展し、世界から愛される数多くの音楽家を輩出している。

ジェイドの父親である国王ハワードもこよなく音楽を愛し、パーティーや王城の敷地内にある音楽堂でしょっちゅう演奏会を開いては、ジェイドもそれに付き合わされることが多い。

それに加えて、オスティアの王都や地方にも王国内いくつもある劇場のオーケストラやオペラなどの公演にも王子として度々招待される。

公務とはいえ、こうも頻繁にあるとどんなに素晴らしい演奏だとしてもうんざりしてしまう。

ジェイド自身、嫌いというわけではないけれど、父親とは違い芸術の分野全般にほとんど興味はない。

しかし、その音楽も含めた芸術の分野がオスティアの産業において重要な役割を果たしているのも、また確かだった。
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