音楽の女神〜ピアノソナタをあなたに
「エミリアか、可愛らしいお嬢さんだ。
そう思わないか？ジェイド」

ハワードは可憐に微笑むエミリアを見て、嬉しそうにジェイドに同意を求めた。

ジェイドがエミリアと視線を合わせると、エミリアは恥ずかしそうに白く滑らかな頬を赤く染める。

そんな反応はジェイドがパーティーで出会う令嬢達や、城に仕えるメイド達のものと同じだった。

いつものことと、ジェイドは特に気にする様子もない。

「娘も今年で十八になりましたので連れて参りました。
オスティア城での初めてのパーティーですので少々緊張しておりましたが、憧れのジェイド様にお会いできることが嬉しくて堪らなかったようです」

「お、お父様…ジェイド様の前で、恥ずかしいですわ…」

侯爵が愛娘をからかうように笑うと、エミリアの頬はさらに赤くなる。

それを見たハワードは、何の反応も返さないジェイドとは対照的に豪快に笑い声を上げた。

「そうだったのか。
ではジェイド、フォレスター家のお嬢さんを一曲エスコートしてあげてはどうだ？」

「それは素晴らしい！」

ハワードの提案に、侯爵は喜びの声を上げる。

ジェイドは急に振られた話に一瞬眉をひそめたけれど、すぐに唇の端を上品に上げ、美しい微笑みを浮かべるとエミリアと向き合う。
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