紅蓮の鬼
「お前って結構モテるんだな」
ポツリと楓太が言った。
「…………………」
ワタシは地面に落ちている銀杏を拾った。
「絶世の美女っていうわけでもないし、超絶可愛いっていうわけでもないのに」
それを聞いて思わず失笑してしまう。
「それは女性に対して失礼だと思う」
空木が呆顔を見せた。
「あ、イヤ、ごめん」
彼はハッとして謝った。
「ただフツーになんでモテるのか不思議だっただけで…」
楓太は眉を八の字にする。
「それも失礼」
「別に今に始まったことじゃなかろう」
ワタシは言葉を切る。
「こいつは元々失礼な奴だ」
ワタシがそう言うと楓太は「エェェエェエ――!!!?」とでも言いたげな顔をしていた。