紅蓮の鬼
「男の鬼は女により強い子供を産ませようと考える」
今まで黙って聞いていた淋が言った。
「その方が、いつの時代も強い方がより事が早く進むからだ」
――いつの時代も…って
その言葉は、まるで何百年と生きているといっているような気がした。
「………あくまでこれは一部を除いて、の話だが」
一部を除く、か。
「そう考えると必然的に強い女に男の目がいくっていうこと」
空木が腕を組んで言った。
「奴らが欲しがっているのは、ワタシの肩書きとその間に産まれた子供のみ」
――……肩書き?
俺は疑問に思った。
さっき淋にアレやコレや言ってた人たちのことを思い出す。
あの人たちは淋と同じ立場、だよな?
あ、千秋っていうひとは除くけど。
なのに彼らは淋を欲していた。
同じ立場。
同じ長。
色緋にはそれほどの価値があるのだろうか。
行くときに聞いた話によれば、色緋は雑種だと。
そして、それ以外は純血だと。
純血と雑種では歴然としていて、その差は天と地ほどだと。
それが何故、純血より力が劣る雑種を欲しがるのだろう。
「最初から奴らの目には私など映っておらん」
「……………………」
淋は自嘲するかのように言った。