紅蓮の鬼





淋らしからぬ行動に、俺の心臓がバカみたいに跳ねる。


ふと、淋が見上げて俺を見た。


クスッと笑った時のように、淋の口が弧を描く。


――………っ……


カァァァッと体中が火照る。


俺は痛いことをつかれた時のように、フイッと外方を向く。


淋は、バカみたいに跳ねる俺の心臓が分かるらしい。


――くそ


羞恥きわまりない。


淋はそんな俺のことなんて目にもないというようだ。


まぁ、今の俺の位置からして淋の顔は見えねぇんだけど。


あ、つむじなら見える。






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