紅蓮の鬼





「んじゃぁ、俺らは行こうか」


男はそういって、女とどこかへ行ってしまった。


男と女が俺の視界からいなくなるまでの時間が、短いはずなのに、ひどく長く感じられた。


「淋、」


二人がいなくなって、俺は近くにいる彼女の名を呼んだ。


「なんだ」


淋が俺を見上げる。


「お前、俺のこと好きだったのか」


直球に言う。


回りくどく言っても、逆に俺がワケわかんなくなると思うし。


俺が。


うん。


俺がね。






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