紅蓮の鬼






俺はそれを聞いて、淋が俺のことを好いていると考えた自分自身にげんなりした。


――……すっかり忘れてた


こいつに〝フツー〟は通じないんだった。


「じゃぁ、何で夫婦とか云々ってなったんだよ?」


俺は疑問に思っていたことを聞く。


「あの時はああ言うしか他に手段がないだろ」


眉を顰めて淋が言った。


「あんな人の目を避けるような場所に男女がいて、あれ以外に、ほかにどう説明すればいいんだ?」


――…う


確かに淋が言っていることは尤もだ。


あんなのをハタから見れば、アイビキ………っていうんだっけ。


それをしているようにしか見えないし。






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