紅蓮の鬼
...side淋
なんだかんだして、目立ての山に着いた。
里を出た時は昼間だったのに、今はもう日が沈みかけてカラスが鳴いている。
暗くなりつつあった。
因みに里の方は、ワタシが居なくてもそんなに問題はない。
空木がいるから。
色緋は異例の長が二人いる里。
だから問題はない。
「そーいやここ、…なんか妙に暖かくね…?」
楓太が辺りをキョロキョロ見ていた。
「たしかに……もうそろそろ夜になるのに息が白くなんねぇや」
千秋が何回か息を吐く。
今は11月の中旬だ。
それなのに、何故周りが暖かいのだろうと不思議がっていた。
「あ、分かった」
楓太がワタシの頭をつつく。
「近くに殺石岩があるから暖かいんだろ?」
その目は確信を持っていた。
「まぁな」