紅蓮の鬼
「そんなこと出来んの?」
だんごを一本食べ終わって、楓太が言った。
「出来ないわけじゃない」
ワタシはお茶をすすった。
かといって、絶対にできるというわけでもない。
「千秋の場合、双子ではなく千秋の内(なか)に獣鬼がいると考えたほうが分かりやすいだろう」
ワタシは「多重人格みたいに」と付け足す。
楓太は真剣な顔をしていた。
「んじゃ、千秋の内にいる獣鬼は、もともと双子として産まれてくるはずだったやつか?」
「だろうな」
ワタシは腕を組む。
「なんで双子じゃねーんだ?」
「知らん」
「知らねーのかよ」
楓太が半目になった。