紅蓮の鬼






「しかも困ったことに獣鬼は取り出せない」


「はい?」


楓太は「え、お前なに言ってんの、俺ガチで分かんねぇ」とでも言いたげな顔をする。


「まぁ、聞け」


「お、おう」


楓太は何故か座り直した。


「こういうことは稀だが、魚鬼と鳥鬼の場合、その人格を取り出せる」


「……えっと…それって人鬼がベースってことか?」


「いや、全てにおいてだ」


「…てことは……魚鬼とか鳥鬼とかの内でも、多重人格みたいに人鬼とか獣鬼とかがいることもあるってことか」


「まぁ、そんな感じだ」


「で、人鬼の内にいる多重人格みたいな魚鬼と鳥鬼は、取り出せる?」


「あぁ」


楓太はニッコリ笑う。


「ん?」


どうやら分からないらしい。







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