紅蓮の鬼






「つか、鬼ごっこなのに鬼追いかけてどーすんだよ!!?逆だろフツー!!!」


俺は人鬼だ。


人の形をした鬼!


「気づいているだろ?内側から沸き上がる、自分では制御出来ないほどの大きな力とかサ」


「!」


突然、彼の真面目な声が響く。


その言葉に俺は眉を顰める。


「記憶が無いのに物を壊していたと聞かされたこととかサ」


彼が言った途端に、辺りがパァァっと明るくなる。


――今度は何だよ!!?


「心当たりはたくさんある筈なのにサ」


俺は眩しさのあまりに目を細める。


「なんで認めないのサ?」


彼が、悲しそうに言った。









気がした。






< 280 / 656 >

この作品をシェア

pagetop