紅蓮の鬼







ドクンと、心臓が大きく脈を打った。


――…や…やばい


俺は崩れる。


地についている膝が冷たい。


「そ♪」


「…貴様…っ…」


淋が花桂樹を睨みつける。


「強気な女は嫌いじゃねーよ?どこまで強気でいられるか試したくなるからな」


彼はまた余裕そうな笑みを浮かべる。


――畜生


そして彼は「ま、今はあっちが気になるからやんねーけど」とつけ足す。


――だぁぁぁあぁもー


目の前にピョンって兎とか鹿とか出てこないかな。


そうしたら速攻食って、俺が淋を襲うことなく、且つ、遠慮なく花桂樹をぶちのめせるのに。








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