紅蓮の鬼






『でも、あながち間違っていませんよ』


私は彼から視線を外して、遠くを見る。


『だったら、俺が〝竜胆〟って呼んであげる』


『竜胆?』


私は瞬きをして、彼を見る。


彼の目は真剣そのものだった。


『花言葉が淋にぴったりな気がして』


彼は余裕そうに笑う。






『竜胆の花言葉は――』





〝悲しんでいるあなたを愛する〟










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