紅蓮の鬼
「オレはヤナセっていうのサ」
彼が立ち上がって、ワタシ達に顔を向けて言った。
「竜胆だ」
「俺、犬升麻」
とりあえず自己紹介をする。
「大体の話は聞いてるのサ。千秋が教えてくれたから」
ヤナセは不敵な笑みを浮かべた。
「竜胆は〝頭がすっごいキレてるヤツだ〟って千秋から聞いてるから、もしかしたらもう分かってるかもしれないんだけどサ、」
ヤナセが腕を組んだ。
楓太が『え、そうなの?』とでも言いげな視線をワタシに送る。
「寿命のことか」
面倒なので楓太は放っておく。
「そうそう、そのことなのサ」
ヤナセはまた不敵に笑った。