紅蓮の鬼


「ふぅ…」


松谷が息を吐く。


「謝るんなら体で払ってもらおうか」


松谷は異論は言わせぬというように言う。


「…え」


俺は固まる。


「…か…体……?」


俺は松谷に聞き返す。


俺の頭の中でとんでもないことが浮かぶ。


――いやいや、ないない


松谷に限ってないない。


「あぁ、これから近いうちに闘いが始まる」


その言葉を聞いて俺は安心した。


――なんだ……そういうことかよ


ホッとしているのがわかったのか、松谷は


「南……ワタシが体でって言ったから、お前を売るようなことをするとでも思っていたのか」


――……ば、バレとる…ッッ!!!


俺がまた固まると、わざとらしくすっごいデカいため息をついた。


「大事な友達にそんなことするわけねーだろ」


松谷は学校でいつも俺に言うように半目で言った。


「ばーか」


いつものように、くしゃっと笑って。



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