紅蓮の鬼




黄鬼の里に行ったものの、彼の両親はいなかったらしい。


戻ってきた桔梗は、そうなることを予想していたような顔をしていた。


「色緋には行ったか」


何か考え事をしていた淋が彼に聞いた。


「…色緋……ですか?」


桔梗は、初めて聞いた、とでも言いたげな顔をして彼女に聞き返した。


「ワケ有りが多い里だ」


フッと笑って淋が答えた。



—――行きたいです



彼は頬を緩ませて言った。





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