紅蓮の鬼




「どれくらい会ってないんですか」


桔梗が口を開いた。


「……かれこれ120年くらいか…」


淋が腕を組んで遠くを見る。


「身分の低い者が高い者と恋に落ちたのだ」


両親の話をしているのだろうか。


彼女がもどかしい表情をうかべる。


「それだけでも幸福なことだったのに、子供を作るなどと……」


―――掟破りだ


彼女は自嘲するように言った。


「……………」


子供なりに、聞いてはならないことを聞いてしまった、と解釈でもしたのだろうか。


桔梗は眉を下げて、口を結んでいた。





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