紅蓮の鬼
「つまらん話を聞かせてしまったな」
淋が立ち上がる。
「もう少しで里に着く」
彼女は歩き出した。
それに続いて、桔梗が歩き出す。
先を歩く淋の背中が寂しく映った。
――俺は
「……………」
もしかしたら、俺は幸せ者なのかもしれない。
俺ん家は両親とも健在で、兄妹もいるし。
うるさくて、親父ともケンカしてこっちに来て。
片や淋と桔梗は、喧嘩する肉親なんていない。
「……………」
――久しぶりに帰ってみようかな