紅蓮の鬼
「どんなの想像してたんだよ?」
なんとなく気になった俺は聞いてみる。
「……………」
淋はチラリと俺を見て、目線を逸らした。
「?」
「……泥沼…」
彼女がボソリと言った。
「え。」
俺は瞬きを二度する。
「……毒…の」
「……っ…」
俺はくつくつ笑う。
淋が俺をギロリと睨む。
どうやら彼女は、俺らが住んでいる場所は泥沼(毒がある。しかも臭い)で、ゾンビだらけの世界だと思っていたらしい。
「あ、いや、ごめんごめん」
「……………」
とは言っても、笑いは止まるわけもなくて。
「毒の泥沼って……毒って……ゾンビでもそこで住めねぇよ」
くつくつと笑いながら、俺は言う。
「……………」
淋は俺に冷ややかな視線を送る。
――なるほどね
言う前に視線を逸らしたのは、バカにされるのが目に見えたからか。