紅蓮の鬼
「ワタシは人鬼族色緋の淋」
「……な…」
南はワタシから目をそらさなかった。
肩につくかつかないくらいだったワタシの髪が腰のあたりまで伸びて、緋色になり耳の上に赤黒い角が露わになる。
振動していた空気が突風となり南を襲う。
ワタシの目は緋色に光る。
「実は存在しているんだ……鬼が」
クスリと笑う。
「……」
南は「信じられない」というような顔をしてワタシを見ていた。
「南…?」
ワタシは固まった南を見てまたふぅと息をつく。
「……きれー…」
南がポツリと呟く。
「…………」
ワタシは思わず「バカか」と言いそうになった。
しかし、なにかすごいものを見れた時のような子供の目をしていたので言うのを止めた。
本来の姿を見せたので、ワタシはさっきの人の姿にもどす。
「…あ」
南はシュンとしたように眉をさげる。
「……なんだ、そんなにワタシに見惚れていたか?」
ニヤリとおそらく答えづらい質問を投げかける。
「は!!?俺がお前に見惚れるだぁ?んなことあるわけない……こともない」
南は尻すぼみになりながら言う。
「…………」
ワタシはキョトンとする。
目が点になる。
……南がそんなことを言うとは…。
正直驚いた。