紅蓮の鬼
「二人とも速いよ~っ」
そんなイヴァルの声が頭上から降ってきた。
上を見ると、イヴァルが浮いていた。
「肉団子がそんなこと言っても、可愛くとも何ともないわよ」
ふぅ、と呆れたようにポーン姉さんが言った。
「……………………………」
俺はその様子を眺めていた。
ふと馬車の音がして、その方を見ると、馬車が二台こちらに向かっていた。
馬車が停まって、降りてきたのはさっきの会場にいた人たちと気品ある老人だった。
「最終審査の結果、次期王が決まりました」
老人は降りて早々、そんなことを言った。
「え、さっきの審査!!?」
「次期王は――」
彼はそんな俺の言葉を無視して続ける。
「ミナミ・ソータ様に決定しました」
「俺ェェェエ!!?」
そんな叫びが響いた。