紅蓮の鬼



ワタシは外に出て、歩く。


突風が吹き、雲が月を半分覆った。


会議はまだ終わっていなかったので今回の続きは、またの機会ということになった。


そして、我ら鬼の存在が再び人間に悟られないよう、『慎重に帰れ』とのことだった。


下手に動くより、人間たちが去っていくのを待つべきだと言ったのだが、獣鬼が決めたことだ。


覆せん。


人鬼の中ではワタシが一番上だが、鬼の中では獣鬼が一番上だ。


ふと、空を見ると、月が全て雲に覆われていた。


それはまるで、これから起こることを何か暗示しているようだった。



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