紅蓮の鬼
「!!?」
急いで風上に向かっていると、暗い夜の筈なのに一ヶ所だけ明るい場所が見えはじめた。
橙の色がポツポツとあり、ゆらゆらと揺れている。
――…やはり……
我は眉を顰めた。
「…ぁぁあぁあッ」
近づくにつれて大きくなっていく悲鳴が聞こえ、濃くなっていく血の匂いがした。
我がその場所に着き、足を止めた時には、既に悲鳴を発する者はいなかった。
あるのは、火だるまになって倒れている人間たちと、血だらけでぐったりしている竜胆だけだった。
「竜胆!!?」
彼女の元へ駆けつけ、火の明かりを頼りに彼女を見ると、竜胆の体には何発もの銃弾が食い込んでいた。
突然、ビュウゥッッと風が吹く。
「俺の里へ運ぶから!」
いつになく、焦っている飛屋久がいた。