紅蓮の鬼
我が飛屋久の里に着いたのと、水陰が竜胆の傷の手当てをし始めたのは、ほぼ同時だったらしい。
「槐、」
竜胆の手当てが行われている部屋の外で、我が腕を組んで待っていると、その部屋から出てきた飛屋久だった。
「水陰が来たから大丈夫だって」
彼はそう言って、空を見る。
魚鬼はどちらかと言うと、戦闘に向いてなく、仲間を癒す能力が高い。
我もつられて見てみると、雲がなかった。
「全く、女の子の体に傷つけるってどういう神経してんだか……」
彼は息を吐いて言い、腕を組んで言った。
その声音は呆れているようだった。