紅蓮の鬼
ようやく収まってワタシの話を聞くようにしたらしい。
さすがに晩食がないのはキツイらしく、ワタシと女中のやり取りの途中に割って入ってきた。
それでも、南は笑いをこらえている。
まぁ…いいか。
「で、三つ目は?」
「………、三つめは〝魚鬼〟」
「…ぎょき?」
南は顔をしかめる。
「なんだ、聞いたことがあるのか」
「……いや、俺の知り合いにそんな名前をしたヤツがいるんだよ」
南は「関係ないか。続けてくれ」と付け足す。
「魚の鬼だ。水の中なら右に出るやつらは居ないだろう」
「あれか?人魚みたいな感じの」
興味津々に聞いてくる南。
「人魚……あぁ…そんな感じかもしれんな」