紅蓮の鬼
ワタシと水陰はその様子を見ていた。
呼吸もだいぶ落ち着いた。
「……知り合い?」
水陰がワタシに耳打ちする。
何かよく分からないことを叫んでいた者は、横に図体が大きく、まるで大きな毬のような男。
凍った人間を蹴り飛ばし、粉々に砕いた者は、やけに筋肉質な女だった。
「……いや…」
ワタシは首を横に振り、「知らない」と言おうといた時、人間の首を斬った男が振り返り、ワタシの目を見る。
そして安堵したような表情を浮かべた。
「大丈夫か、淋…どう」
「あぁ」
その男は、少し大人びた楓太だった。