紅蓮の鬼
...side淋
目を開けると、土でできた高い天井が目に入った。
生臭い匂いがする。
「っ、」
そして、右肩に走る痛み。
白い布の上から、鋭利な物でザックリと×印に斬られていた。
「………………」
――鬼蜘蛛か…
あたりを見渡すと、結界が張ってあった。
魚鬼と白鬼と青鬼がつくる、水で作られた固い結界。
その固い結界に銀鬼の雷が纏っていた。
それが五重にしてある。
「……くそ…」
ワタシが今までの間で、破壊出来たのは四重だ。
しかも今、目の前にあるものではなく、銀鬼の雷が纏っていないものだ。
これでは要の所に行くことなどより、ここから出ることなどできんではないか。
ワタシは仰向けになって、天井を見つめる。
自分の無力さに虫酸が走る。
「……くそ…っ」
――もう、後悔はしないと決めたのに
護ると決めたのに。