紅蓮の鬼
私たちが住んでいる家に、人が来た気配がした。
何事だろうと思って表へ出てみると、武装をした三人の人間がいた。
だけど、ここからは見えない場所から、ざっと十人くらいの人間の気配がする。
『何故…貴方たちがここに……』
私は驚きを隠せなかった。
だってここは、山と山の間にある場所で、人里とも離れているからだ。
『鬼はいるか?』
『え!!?ちょ、何をっ!!?』
彼らはずかずかと土足で家の中に入っていく。
無作法にも程がある。
人間たちは私のことなど眼中にないようで、勝手に部屋を荒し、〝鬼〟を探す。
『何の騒ぎ?俺もうちょっと寝たいんだけど』
障子を開けて、寝間着姿で寝惚け眼の藺草さんが言った。
『………………………………』
ここにいる人間全員がピタリと動きを止め、キョトンとした表情を見せる。
『?』
藺草さんは人間に見られ、頭の上に疑問符をのせた。
『………………………………』
一瞬、張りつめた空気が緩んだ気がした。