紅蓮の鬼


それから鳥鬼の里にもどる。


淋の体をよく見ると、彼女はあちこちに新しい傷を作っていた。


何か、火傷のような。


俺はなるべく彼女の傷に障らないようにして、駆ける。


淋は俺の腕の中で眠っている。


「ァー」


ふと、鴉の鳴き声がした。


その声は確実にこちらに、近づいている。


「カァァアッ」


そしてその鴉は俺と並走する。


「………………」


――え、うそ


俺ら見えてんの?




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