紅蓮の鬼

...side楓太



俺は今、邪魔者扱いされている。


誰に?


……たぶん人間に。


この発電所のようなビルのような、怪しげな建物に入れたのは良いものの、俺と空木は邪魔者扱いされて、ここで待っとけって言われた。


つーか、何であんな場所に駒繋が居たんだろう。


あの場所では、色緋のある場所とは正反対だって、空木が言ってたし。


……裏切り者、アイツなんじゃねぇの?


なんて、根拠のない想像を膨らましてみる。


「………………」


俺はチラリとこの部屋を見渡す。


デカい長方形のテーブルが、この部屋にドンと真ん中に置いてあって、10脚のイスがある。


テーブルの上には水色のテーブルクロスが敷いてあって、真ん中に花が生けてあった。


テーブルのど真ん中にある生け花の両隣には、フルーツの盛り合わせ(皮剥かれてない)がある。


一回、その中のリンゴに手を伸ばしたけど、空木が「毒りんごかもしれないよ~?」とか言ってきたので、食べるのを止めた。


……いや、別に、〝毒りんご〟って言う単語を聞いて、白雪姫を思い出して、俺がリンゴ食べて仮死状態になって、王子様がキスして俺復活!っていうことを想像したわけじゃないから。


ヤメテやめて。


俺はBLでもホモでも腐男子でも色男でもなんでもないから。


そして、長いロウソクが置いてあった。




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