紅蓮の鬼


-----バァンッッ


「!!?」


「は!!?」


乱暴に開けられたドアの前に立っていたのは、女だった。


しかも淋に瓜二つの。


――え、なに


淋って双子?


俺は空木を見た。


「………………」


彼は黙ったまま女を見ていて、眉を顰めた。


「………………」


なるほど。


淋は双子じゃないらしい。


……とすると、だ。


「君、だれ?」


空木が口を開いた。


「名ハ無イ」


女がそれだけ言って、空木に飛びついた。



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