紅蓮の鬼


「とりあえず捕まる前に逃げるよ」


空木が燃えカスを踏まないように前を進み、最初に俺らが入ってきた場所へと、足を進める。


「竜胆は?」


彼を追いかけながら、チラリと後ろを振り返る。


人間がドタバタと出てきた。


「姐さん達は先に行ってる」


短く言い、発電所のようなここから出ると、空木は地面を蹴って駆けた。


……いや、駆けるというよりも、忍者みたいに木から木へと飛ぶ、と言った方が正しいのかもしれない。


「急ぐよ、なんか嫌な感じしかしないから」


――……り、理由がアバウトすぎる…


だけど、滅多に見られないと思われる、空木の焦った横顔を見て、俺は素直に返事をした。


それからすぐに鴉が、イヴァル達がいる里に起こったことを報告しに俺らと並走する。


……走ってなくて跳んでるから、並跳?←




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