紅蓮の鬼


「丁度いいわね。決着をつけようじゃないの」


桜も刈人の存在に気づいたようで、妖艶にほほ笑み、一歩前に出る。


「下がれ」


ワタシは前に出た彼女の腕を掴んだ。


「何でよ」


鬱陶しそうに桜がワタシを睨む。


「奴らが欲しがっているのはワタシの命だ」


フッと、口角を上げ、地べたに刺さっているものを見た。


――頭を獲れば下は脆く崩れる


「掩護するよ、姐さん」


楽しそうな空木の声が聞こえた。




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