紅蓮の鬼


それから暫く、ワタシと空木は阿吽の呼吸で合わせ、攻める刈人を獲る。


とは言っても、何故か人間の匂いはしないので、茂みや木の上に隠れている彼らを見つけることは難しく、状況は苦しい。


—―鼻を頼りにし過ぎたか


ワタシは苦虫を噛み潰したように口角を上げた時。


頬が深く切れ、矢が腿に掠る。


—―—――迂闊だった


「淋ッ!」


空木が叫ぶのと、ほぼ同時。


-----ドッッ


「!」


刈人の武器が胸に刺さる。


そのことを理解したのは、刈人が言葉を発した時だった。





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