紅蓮の鬼
「心臓を貫いた。これで終わりだ、鬼」
刈人が俯いていた顔を上げ、勝ち誇ったような笑みを浮かべてワタシに言う。
—―……し…ん、臓……だと…
その言葉に目を見開いた。
「ぐ…」
-----ズボッッ
紅い鮮血と共に、刈人の何故か光っている刀がワタシの体から抜ける。
「ゴプッ」
口と鼻から血が出ていく。
ドシャっと片膝をつくだけなのに、やけに時間がゆっくり進んでいるようだった。
体が、熱い。
不規則な脈に合わせて、ドクドクと傷から血が出ていく。
しかしこれは所詮、切り傷。
心臓の傷もそうだ。
何事もなかったように血は止まり、正常に動き出す。
「淋っ」
空木の悲痛な声が聞こえた。
鋭い風が、来ている。
それは恐らく、止めの槍か矢か、将又あの刀か。
—―全く、ざまぁないな