紅蓮の鬼


「ユキ兄様…ッッ」


あの時のように、突風が吹いて灰が宙に舞う。


ワタシの手には、何もなく、さっきまであった温もりや、疑問もない。


「御守りして戴いたこと…感謝します……」


ワタシは片膝をついて右手を左胸に当て、言う。


「…良い眠りを……雪媛様」


ワタシの頬に、一筋の流れ道が、できた。



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