みんなの恋~short stories~
カリカリ。
シャーペンを走らせる音が響く。
なんだかスゴく視線を感じるけど、ムシ。
可哀想になるけど、ムシ。
「早くデートしたいなぁ…」
呟きが聞こえた。
そんなのあたしだってそうだよ。
でも仕事おわらせなきゃダメじゃん。
ガリガリ。
そんな思いがあってかさっきより筆圧が強くなる。
「浜野」
呼びかけるので、振り向くと
ひどく拗ねた顔。
「俺、帰るわ。」
「え?」
「だって浜野構ってくれないし。どうだって良いじゃんそんなの。今日授業短かったしたくさんデートしたかったの!」
今まで溜まっていたものを吐き出すようにセリフを吐き出した。
「そんなのって…」
あたしはまずそこにカチンときた。
「そりゃ、斎藤にとってはどうでもいいかもしれないけど!…あたしだってデートしたいし、でもするには仕事おわらせなきゃダメだし…」
最後にはあたしの声は小さくなり、なんだか泣きそうだった。