そして恋が始まった
次の日の朝。
お昼のグループの1人成美が
いきなり実羅に
こんなことを言ってきた。
「実羅は、智也君となかいいよね…
実は私智也君のこと好きで、
手伝ってくれない?」
しかし、野球部は恋愛禁止で
実羅も智也君が好きだったので
何も言えず黙りこんでしまった。
成美は話を続ける…
「野球って恋愛禁止って言ってるけど
隠れて付き合っている人いるでしょ?
だから…実羅に手伝ってほしいの。」
成美は、中学生時代から
いい噂がなく、
自分に都合の悪い人は
女子の集団をつくり、いじめてきた、
高校でも被害にあった人がいた…
そのため実羅は断ることができず
その恋を手伝うことになってしまった。
「そんなに大変なこと、頼まないから
大丈夫、ただ…昼休みに2人きりに
してほしいの…。」
そして昼休みがやってきた。
いつも通り皆で話をしていると…
成美が実羅を見てきた。
実羅はどうすることもできないで、
「わ…私喉が乾いちゃった…
成美…買ってきて…!」
きっかけを作ろうと
やけになり、そんなことを言った。
すると成美は、
「えー私が買いにいくのぉ?」
そう言ったので
「じ…じゃあ智也君…一緒に行ってきて。」
そう言うと成美は皆の分も
買ってきてあげると言い、
少し嫌そうにする
智也君と一緒に行ってしまった。
実羅は、成美が2人になって
何をしようとしていたのか
だいたいわかっていた。
きっと告白するつもりだろうと…
そう、考えていると
耐えきれなくなり
「ちょっと…トイレ行ってくるね」
そう言い教室を飛び出し
トイレにつくと
我慢していたものがはじけ
涙がこぼれてしまった。
そもそも、成美の本性を知っている
一部の女子からは好かれていないが
見た目は、自分の目から見ても
可愛いため、
それを知らない人や男子には
うけがよかった。
だから、心配でしかたなかった。
もし、成美が付き合ってしまったら、
そう思うだけで涙がとまらなかった。
昼休みの終わり近くまで
トイレで泣いていた実羅のもとに
成美がやってきた。
「実羅、ありがとう。
おかげで私、智也君と付き合うことに
なったよ。」
実羅の後ろに立ち
ボソッとそう言うと
まるで実羅の心を
知っているかのように
口元に笑みを浮かべて、
泣いていた実羅の隣に
1本のジュースを置いて
去っていった。
実羅は午後の授業に出ることはなく
そのまま帰宅した。
家に帰ると自分の7年間の片思いは
何だったのか、
胸がギュッと締め付けられるように
苦しくて、そのままベットに倒こみ
泣きつかれて寝てしまい。
あっという間に朝がきた。
胸がスッキリしないまま
学校に行く。
そこには楽しそうに話をしている
2人…
そこに追い討ちをかけるように
やってきた昼休み。
グループの皆は付き合っているのを
知っていたため、
「ばれないようにね!」
「成美よかったね!」
そんな2人を応援する言葉が
絶えなかった。