密恋~貴方に触れたくて~
私の家は、父がP&Pと言う子供服のブランドメーカーの社長をしている

その会社の跡取り息子の兄は、デザイン学校を卒業し、父の会社でデザイナーの仕事をしているのだ

P&P(PRINCE & PRINCESS)株式会社

父が立ち上げたブランドなんだけど、それが日本だけに留まらず、今では世界でも知られる有名ブランド

柔らかな色彩

肌触りの良さ

原潜された素材

その3点に対し、徹底的に拘った父の作り出したブランドは、今では大きな会社へと急成長を成し遂げ、世界中に店舗を構えている

そんな会社を大きくした父は、兄ではなく私と仕事がしたかったらしい


「なんで‥‥
 なんでなんだ?」


兄がデザイン学校に進むと言った時

私がT大工学部建築設計科に進学したいと言った時

父は頭を抱えながら、叫びまくっていた


「悠磨が建築なら分かる
 それなのに、何で悠磨が服飾デザイナーの道で悠璃が建築なんだ?
 逆だろう~!!」


確かに、逆だって叫ぶ父の言葉は分かる

でも私が言うのもなんだけど、悠磨兄さんは洋服のセンスが良い

流行にも敏感だし、凄くお洒落

そんな兄さんに、私はアドバイスをもらっているくらいだ


「お前、女として最悪
 もっと自分を磨けよな!!
 俺の妹なんだから、素は良いはずだし、兎に角勝手に自分の服なんて選んでくんなよ!!
 兄ちゃんが、良いって言った服しか着るな!!」


確か、私が中学の時だったと思う

初めて自分で洋服を買いに行った時、ボーダーのシャツが可愛いって思って買って帰ったら、悠磨兄さんに駄目だしをされてしまった

ダサい

センスなさ過ぎ

そう中学の時に言われ続けたせいか、私はすっかり自信をなくしてしまった

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