密恋~貴方に触れたくて~
混雑してる電車もバスも苦手‥‥

痴漢に合うのは毎日だし、足を広げて新聞を読んでいるおじさんは邪魔だし、香水のきつい匂いも苦手

だからって、避けて通る訳にはいかないのが難点

流石に学生だらけのバスでは痴漢はいないけど、大きな声で騒いでいたりするのも苦手で、特に男の人の集団なんかに声でもかけられた日には何も言えなくて、つい無反応に俯いてしまう

そんな私に浴びせられる言葉は


【つまんねぇ~女!!】
【無視してんじゃねぇ~よ!!
 ブス!!】
【バカにしてんの?】


つまらないのは確かだし、ブスって言葉にも納得してる

でも、バカになんてしてない

だからって何を言って良いのか分からなくて、つい泣きたくなってしまう

こんな時に軽く交わせるような性格だったら良いのに‥‥

そう思って菜々子さんに相談してみたんだけど、私は私で良いって言葉が返って来た

私は私で良い?

自分を変えたい

そんな気持ちで髪型も変わった

服だって、以前の私に比べたら兄のコーディネートのお陰で別人になった

綺羅の言う通り、背筋を伸ばして前を見る努力だって‥‥しているつもりだ

でも、菜々子さんは私は私のままで良いっと言っていた


【悠璃ちゃん‥‥
 悠璃ちゃんは、そのままで良いんだよ!!
 性格まで変える必要はないし、今のままの悠璃ちゃんを見てくれる人は居るから、だから無理に背伸びしなくて良いんだからね♪】


今の私を見てくれる人が居る

確かに菜々子さんの言う通り、綺羅とだって友達になれた

それにバイト先で知り合った美咲ちゃんも、こんな私と友達になってくれた

だけだ‥‥

だけど、何か今のままでは駄目なような気がする

私に不足しているものが何なのか、それはきっと自信だ

それが分かっていながら、自信が持てない私は一人で足掻いているんだと思う


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