密恋~貴方に触れたくて~
小乃葉の大きな怒鳴り声に、私達は笑ってしまった

あぁ~

私、大学に入って本当に良かった

綺羅と友達になれて、アルバイト先では美咲ちゃんと仲良くなれたし、今は莉子や小乃葉や仁美ちんちも仲良くなれて凄く幸せな気持ちだ

それに‥‥
桐生先輩

彼の事を考えるだけで胸がドキドキして、全身が沸騰するくらい身体が熱くなってしまう

この感情は‥‥恋なのかな?

私は今まで一度も誰かを好きになった経験がない

男の子にからかわれて、好きになるってよりは苦手

ううん

苦手じゃなくて嫌いだった

小学校の頃は、罵倒と暴力の嵐

中学と高校では、教室の隅に居る私の存在すらクラスの人達は知らないくらい目立たない存在だった

勿論、女の子の友達だって一人もいない

だから学校なんて嫌いだった

勉強なんて学校じゃなくても出来るし、塾では他人に干渉しなくて良いから凄く気が楽だった

いつも、いつも考えていた

小学校から中学校に進級する時、今度は友達が出来るかな?

中学から高校に進学する時、また今度こそって期待してみたりした

新しいクラスになる度に、話しかけようって勇気を出したけど誰にも届かなかった

結局、小学校も中学校も高校も、私のそんな小さな願いも叶わなかった

だから大学に進学した時は、正直何にも期待なんてしていなかった

一人で良い‥‥

本当は一人は寂しいのに、一人で居る事にいつしか慣れてしまっていたから、まさか綺羅が話しかけてくれるなんて思わなくって、今までの生活から一転し、これが薔薇色の生活って言うのかな?

そんな気持ちで自然と笑顔が溢れてしまっていた


「いいじゃん!!
 悠璃の笑顔
 もう、食べちゃいたいくらい可愛い♪」


いきなり小乃葉にギュ~っと抱き締められ、キャンパスの芝生の上で私達は傍からみたらバカかもしれないが、キャーキャーっと大騒ぎをしていたのだった




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