密恋~貴方に触れたくて~
カシャンっと響かせ、シュッポっとライターに火を灯し煙草に火をつける先輩の姿‥‥

私にかからないように紫煙を吐き出す姿が様になっていて、それだけで心臓が破裂しそうなくらいドキドキ

やっぱり、先輩は格好良い

銀のライターに赤い箱の煙草

右手の人差し指には、SilverのRingがしてあって、コーヒーを飲む姿に見惚れてしまう

本当ならミルクとシュガーを入れるけど、先輩に少しでも近付けたら‥‥

そんな思いで、つい子供扱いされたくないから、ちょっと背伸びをしてアイスコーヒーをブラックで飲んでみる

口に広がるコーヒーの苦さ

此が大人の味なのか?なぁ~んて、苦いコーヒーを更に口に含む


「同じ電車だったんだな?」

「えっ?
 そ、そうみたいですね
 先輩は、ご実家からの通いですか?」

「いや
 二年前からマンションで一人暮らしてる
 悠璃ちゃんは、まさに実家暮らしって感じだなっ」


実家暮らを断定するように言われて、酷く子供扱いされたみたい

確かに実家暮らしだけど、なんか何て言い返せば良いのか分からず笑って誤魔化しちゃった


「なんか、悠璃ちゃんってさぁ~
 見るからにしてお嬢様っぽいよな!!
 清楚で純粋で、誰もが守ってやりたくなるような感じ?
 まぁ~、残念ながら俺のタイプじゃないから安心しろよ!!
 俺、ガキとお嬢様は嫌いだから‥‥」


タイプじゃない‥‥

しかも嫌い

そうはっきり言われ、頭を鈍器で殴られたようなショックを受けた

お嬢様

清楚

純粋

守ってやりたくなる感じ‥‥

先輩の目には、私はそんな風に見られてなかったんだ

タイプじゃないから安心してって、しかも嫌いまで言われてしまえば、いきなりの先輩との間に一線を引かれたような気がして、その後の先輩との話がまるで聞こえなくなってしまった

その後も会話らしい会話もなく、私は先輩と別れて318号室にある教室に向かったのだった





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