密恋~貴方に触れたくて~
綺羅の言う通り、確かにあの容姿だ

きっとモテるんだろうなぁ~

それに伊集院先輩だって、カッコイイと呼べる部類に入る

そんな人達が募ってるサークルに、現段階で女の子が3人だけだなんて‥‥

もしかして危ないサークルなんかじゃないだろうか‥‥

それに、お酒を飲むって言ってたよね?

お酒なんて、今まで一度だって飲んだ事がないのに、そんなサークルに入って大丈夫なのかな?

不安が過ぎる


「悠璃‥‥
 今日からバイトだっけ?」

「‥‥うん」

「確か本屋だったよね?
 ガンバだよ!!」

「ありがとう」

「じゃあ、私達はこっちだから、また明日ね♪」


大学の正門前で、綺羅と伊集院先輩と別れて、私はさっき桐生先輩が渡ってきた交差点の信号待ちをする

自分を変えたくて、今日からバイトをする事になった

本屋の他にも幾つか面接を受けたが、どこも不採用

ファミレスに、コンビニ

カフェや雑貨屋


【貴方、接客業に向いてないわよ】


そうハッキリ言われたりもした

それでも諦めずにバイトを探し、やっと採用してくれたのは文栄堂

ヤバイ‥‥

急がなきゃ

信号が青に変わり、足早でバス停に向かうとタイミング良くバスに乗り込む事が出来た

そして駅までバスで向かい、電車を使って地元のたまプラーザ駅で下車

行き交う人混みの中を駅から徒歩で5分程の場所にある文栄堂に到着すると、緊張を吐き出すように大きく息を吐いて自動ドアに足を踏み入れた

夕方の本屋は帰宅途中の学生や、社会人さん、子供やお母さんらしき人で混雑している


【お店に来たら、近くのスタッフに声をかけて下さいね】


そう私を面接してくれた店長さんに言われた事を思い出し、思い切ってレジカウンターに足を向けた

うぅぅ~
やっぱり緊張する

でも、逃げる訳にはいかない


「ぁ、ぁ、あの~
 今日からバイトをする事になりました月城悠璃です
 宜しくお願いします!!」


スタッフの顔なんて見れず、頭を深々と下げたまま大きな声で言い放った



< 7 / 46 >

この作品をシェア

pagetop