曖昧

嘘2


 回想

 たいした事じゃなかった。

 客に冷たく扱われ、駅のベンチで一人腰掛けていた。

 冷たい雨が降り続いている。

 別に悔しくなんかない。

 それよりいつまでこんなぐだらない仕事を続けているのか

 自分に腹が立っていた。

 他にやりたいことも見つからない。

 亡くなった親父の借金も全て返済を終えた。

 天涯孤独の影山にはもう目的はなにもなかった。

 死んでも構わないとすら考えていた。

 虚しい気持ちだけが心の中を支配する。
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